フューリ

知らない間に、というか気が付いたら、スポーツは生活の一部になっていました。
今はないといられない、ふとそう感じた。
不思議。今まで大嫌いだったのにね。
こんなに根気よく教えてくれなかったからかな。体育は、何のためにあるんだろう。出来ない理由は何？
虚しくなるから考えないようにしてた。部活はよく分からない確執と伝統が受け付けなかった。先輩の話は人によってむらがあって、先生は踏ん反り返っているだけだった。
ロクな事が無かった運動、なんでまたやろうなんて考えたのか、自分でもよく分からない。
荷物持ちや空威張りが無い世界。それはお金がきっと解決しているのね。
金払って済むなら安い話だ。だけど、きっと、カポエイラの文化自体がそういう気質を持っているんだと思うな。
許すっていうのかな。
受け入れたり、受け流したり。
怒りや恨みでしか頑張れない自分の肩肘張った青臭さと、異常な反骨精神と執念と上手く付き合う術を身に付けられるかもしれない。
気のせいかもしれないけどね。


いつか許す日がくるのが恐いね。何もかもを。
恨むことでしか前にすすめなくて、『的』が、『敵』が必要で、今はそれが無くて、人が言うほど充実した日々も充足した精神も得ていなくて、ただ明日が恐くて不安で何もしない自分が許せなくて、時間を細切れにして穴を必死に埋めてて、またそれが虚無を吐き出す。

『自分じゃなくてもいい、ここにいるのは』

自分でなきゃいけない理由が見つからない。反射する顔はいつでも穴が開いていて、醜怪な自分の顔が平坦に張りついているだけ。
首から血が出ている気がして頻繁に確認してしまう。
首から上は自分？それとも、下が違う人間？
いつかすげ代えられてしまうかもしれない気がしてならない。
触れる感触と触れられた感触が一致しない。


だけどこれは秘密。
ここだけの話。
今のままなら確実に、心療内科行きだもの。
世間が許しても周囲がそれを許さない。
治療を許さない。
こうしてひっそりと心を病みながら、結局私は明日もまた笑うんだ。