全てが唯洩れている場所
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ドフ!とくぐもった爆音がした。
ギク、として上を見上げたらもうそれは間近にまで迫ってきていて、うげ、と言う悲鳴とも断末魔とも言える変な音が自分の口から出てきたのに驚いている間に。
同じような引きつった顔の愚弟もろとも俺はもみくちゃになったのだった。
「・・・死ね」
「簡単に言うな」
頬に食い込んだ肘を退かす前に、取り敢えず最も伝えたかったことを言った。
そして乱暴に、と言うか蹴り落とす形でダンテを横へ落とした。
ダンテにとっては、落ちた先に自分がいたのは幸運だったかもしれない。けれどこちらの立場から言えばいい迷惑である。
「自爆に巻き込まれないように注意しろと言ったはずだが」
「避けた先にアンタがいたんだ」
「…減らず口を」
「アンタの弟だからな」
いてえ、と腰をさすりながらダンテ。お前の右手が肋骨を何本か折ったことを言うべきかどうか迷ってやめた。
結局、もう自己修復は完了しつつあるのだ。口の中に逆流してきた血の塊がまだ入っていたがこっそり嚥下した。
人気が無い裏路地なのか、人気の無くなってしまった裏路地なのか、とにかく貼っては剥がされた汚いレンガの壁と格子付きの古びた窓と申し訳程度の非難梯子(思うに、劣化が激しすぎて人一人支えることも出来ないような気がする)と、あとは何も無い、とにかく裏路地だった。時折クラッキング中のホームレスが寝床に使う、そのぐらいの場所でしかなかったはずだ。
「本当にこれまでお前一人でやってこれていたのか?」
わらわらと電灯の光すら届かない影から悪魔が湧き出てくる。
「どういう意味だよそれ!」
「そのままの意味以外に何かあるのか」
「へ・ら・ず・ぐ・ちをー…!」
弾倉を落として新しいものを叩き込みながらダンテは歯軋りした。お前会わない間何があったんだよ、と小さく呟く。
「プロフェッショナルを自称するなら完璧に仕事をしろ」
柄に手をかけて居合いの構えをとる。人ならざる聴覚が不快な独り言すら拾い上げてしまう。思うに、この男は自分以外に同じポテンシャルを有する人間がいるという事に慣れていないのだ。何せ、世界で二人だけだから仕方ないことではある。
「人生思った通りに行くと思ったら大間違いだぜ」
「お前が人生を語るな」
「お前より立派な人生だっつうの」
「・・・はは、それは違いない」
「・・・・・・あんだよ」
自然と背中合わせになる。暗闇から見えるのは無数の赤い光だけで、彼らはまだ人工光の下に出てくる気配は見せない。
湿ったような蒸しているような、それでいて酷く冷たい空気が漂う。こういうのを、空気が重いと言うのだろう。
「今日の晩飯代くらいにはなるかな?」
「お前な・・・光熱費と家賃とその他諸々の生活費にもならなかったらそのうち本当に死ぬぞ?」
「ハハ、俺たちって死んだら灰になるのかな?」
「一興だ。やってみろ」
俺は抜刀した。
「ホントにお前、今まで何してたの?」
依頼を完遂させて取り分もきっちり貰って幾分か機嫌のいい俺は先ほどの会話を思い出した。
あの時なんで肯定したんだ?
「お前殺しはした事があるのか」
しかし兄はその問には答えずに逆に質問を返してくる。バージルはどうやらこれまでも触れて欲しくない内容になると逆に問い返すことでうやむやにしてきた節がある。
「・・・無いよ」
「俺はある」
「偉そうに言うんじゃねえよ」
「そうだな」
確かに俺は生きるためには何でも、それこそ人様には決して言えないような事も色々やってきたけど、それでも金を貰って人を殺すと言うことはしなかった。
事件に巻き込まれて色々な偶然が拙い方向に重なってその挙句死なせてしまった人は沢山いるが、しかしそれで飯を食っているわけではない。そこは俺のプライドがどうしても許さないのだ。
「なんにせよろくな人生ではない」
「アンタはどっかで幸せになってたらいいのにって思ってたけどな、俺は」
ある日突然スーツ姿のお前がやってきて、お前はすごい企業の幹部とかで、それで俺に『もう復讐なんてやめろ』とか説得したりするんだろうな、と思ってた。
「なんだそれは。俺は会社員なのか」
「うん。すんげえキレ者で、眼鏡とかかけちゃったりとかすんのかなーとか」
「馬鹿な」
「だよな」
いやでも、お前は俺と違って賢かったから馬鹿みたいに復讐だのなんだのっていう方向に考えないでちゃんと真っ直ぐ育つだろうと。勿論あの時、死んぢまってた可能性はあったんだけども。
「そうなるべきだったか?」
「うーん。ひょっとしたら俺はこの危ない暮らしから抜け出したかったのかもしれないな。誰かが引き上げてくれるんじゃないかと心のどっかで思ってたと言うか。まあ、そんな甘い考え持てたのも普通の人間より頑丈で死ににくかったからなんだけど」
ってことはつまりこんなに自分に合った世界は無いわけで、ということになるのだから人生と言うのは本当に上手い事行かない。
「でも結果的には強くなれたし、それなりに楽しみも出来て友達も増えてきたら色々考えなくなったな。結局明日死ぬかもしれない業界だし、そういう意味では今アンタがそうやっていてくれる方が良かったんだと思う」
「胡麻擂りは結構」
「フフン、ばれたか」
でもそう考えてたのは本当。
結果的には二人で溝の中って感じだけどな。
1で、まだバージルの存在をアミュレットの裏の説明でしか知らなかった頃、私は本当にこういう妄想をしてました。
バージルは過去を隠して復讐とか悪魔とか無理やり忘れて人間として暮らしてて、両親の仇とか悪魔狩りだとか危ないことで頭が一杯のダンテに何とか普通の人間として生活して欲しいくてよく説得に来ている、みたいな。そんな兄貴の気持ちも分かるけど、男は引いちゃなんねえ戦いがあるんだ的な事を言っては悪魔を狩って兄を苛苛させる、とかそういう感じだと思ってたんですよね。敵になってるとか、王道過ぎて思いつかんかったっつうの。
そうそう。またアレのはなし。
最近その話ばっかりしているのではないか、と今日気がつきました。あんまり良くない事です。気をつけねばなりますまい。
どの話題でもある程度対応出来ると自負している私だから、同じ話題ばかりしているなんていうのはホント、駄目駄目です。
確かに最近ちょっと親密度が上がってる感はありますけどね。なんちゅーか、相談とかしたのが結論としてそういう方向に向いたって感じなんだけども。
わかんねー。自分は一体なんなんだ。
いかにておへんじ!
ギク、として上を見上げたらもうそれは間近にまで迫ってきていて、うげ、と言う悲鳴とも断末魔とも言える変な音が自分の口から出てきたのに驚いている間に。
同じような引きつった顔の愚弟もろとも俺はもみくちゃになったのだった。
「・・・死ね」
「簡単に言うな」
頬に食い込んだ肘を退かす前に、取り敢えず最も伝えたかったことを言った。
そして乱暴に、と言うか蹴り落とす形でダンテを横へ落とした。
ダンテにとっては、落ちた先に自分がいたのは幸運だったかもしれない。けれどこちらの立場から言えばいい迷惑である。
「自爆に巻き込まれないように注意しろと言ったはずだが」
「避けた先にアンタがいたんだ」
「…減らず口を」
「アンタの弟だからな」
いてえ、と腰をさすりながらダンテ。お前の右手が肋骨を何本か折ったことを言うべきかどうか迷ってやめた。
結局、もう自己修復は完了しつつあるのだ。口の中に逆流してきた血の塊がまだ入っていたがこっそり嚥下した。
人気が無い裏路地なのか、人気の無くなってしまった裏路地なのか、とにかく貼っては剥がされた汚いレンガの壁と格子付きの古びた窓と申し訳程度の非難梯子(思うに、劣化が激しすぎて人一人支えることも出来ないような気がする)と、あとは何も無い、とにかく裏路地だった。時折クラッキング中のホームレスが寝床に使う、そのぐらいの場所でしかなかったはずだ。
「本当にこれまでお前一人でやってこれていたのか?」
わらわらと電灯の光すら届かない影から悪魔が湧き出てくる。
「どういう意味だよそれ!」
「そのままの意味以外に何かあるのか」
「へ・ら・ず・ぐ・ちをー…!」
弾倉を落として新しいものを叩き込みながらダンテは歯軋りした。お前会わない間何があったんだよ、と小さく呟く。
「プロフェッショナルを自称するなら完璧に仕事をしろ」
柄に手をかけて居合いの構えをとる。人ならざる聴覚が不快な独り言すら拾い上げてしまう。思うに、この男は自分以外に同じポテンシャルを有する人間がいるという事に慣れていないのだ。何せ、世界で二人だけだから仕方ないことではある。
「人生思った通りに行くと思ったら大間違いだぜ」
「お前が人生を語るな」
「お前より立派な人生だっつうの」
「・・・はは、それは違いない」
「・・・・・・あんだよ」
自然と背中合わせになる。暗闇から見えるのは無数の赤い光だけで、彼らはまだ人工光の下に出てくる気配は見せない。
湿ったような蒸しているような、それでいて酷く冷たい空気が漂う。こういうのを、空気が重いと言うのだろう。
「今日の晩飯代くらいにはなるかな?」
「お前な・・・光熱費と家賃とその他諸々の生活費にもならなかったらそのうち本当に死ぬぞ?」
「ハハ、俺たちって死んだら灰になるのかな?」
「一興だ。やってみろ」
俺は抜刀した。
「ホントにお前、今まで何してたの?」
依頼を完遂させて取り分もきっちり貰って幾分か機嫌のいい俺は先ほどの会話を思い出した。
あの時なんで肯定したんだ?
「お前殺しはした事があるのか」
しかし兄はその問には答えずに逆に質問を返してくる。バージルはどうやらこれまでも触れて欲しくない内容になると逆に問い返すことでうやむやにしてきた節がある。
「・・・無いよ」
「俺はある」
「偉そうに言うんじゃねえよ」
「そうだな」
確かに俺は生きるためには何でも、それこそ人様には決して言えないような事も色々やってきたけど、それでも金を貰って人を殺すと言うことはしなかった。
事件に巻き込まれて色々な偶然が拙い方向に重なってその挙句死なせてしまった人は沢山いるが、しかしそれで飯を食っているわけではない。そこは俺のプライドがどうしても許さないのだ。
「なんにせよろくな人生ではない」
「アンタはどっかで幸せになってたらいいのにって思ってたけどな、俺は」
ある日突然スーツ姿のお前がやってきて、お前はすごい企業の幹部とかで、それで俺に『もう復讐なんてやめろ』とか説得したりするんだろうな、と思ってた。
「なんだそれは。俺は会社員なのか」
「うん。すんげえキレ者で、眼鏡とかかけちゃったりとかすんのかなーとか」
「馬鹿な」
「だよな」
いやでも、お前は俺と違って賢かったから馬鹿みたいに復讐だのなんだのっていう方向に考えないでちゃんと真っ直ぐ育つだろうと。勿論あの時、死んぢまってた可能性はあったんだけども。
「そうなるべきだったか?」
「うーん。ひょっとしたら俺はこの危ない暮らしから抜け出したかったのかもしれないな。誰かが引き上げてくれるんじゃないかと心のどっかで思ってたと言うか。まあ、そんな甘い考え持てたのも普通の人間より頑丈で死ににくかったからなんだけど」
ってことはつまりこんなに自分に合った世界は無いわけで、ということになるのだから人生と言うのは本当に上手い事行かない。
「でも結果的には強くなれたし、それなりに楽しみも出来て友達も増えてきたら色々考えなくなったな。結局明日死ぬかもしれない業界だし、そういう意味では今アンタがそうやっていてくれる方が良かったんだと思う」
「胡麻擂りは結構」
「フフン、ばれたか」
でもそう考えてたのは本当。
結果的には二人で溝の中って感じだけどな。
1で、まだバージルの存在をアミュレットの裏の説明でしか知らなかった頃、私は本当にこういう妄想をしてました。
バージルは過去を隠して復讐とか悪魔とか無理やり忘れて人間として暮らしてて、両親の仇とか悪魔狩りだとか危ないことで頭が一杯のダンテに何とか普通の人間として生活して欲しいくてよく説得に来ている、みたいな。そんな兄貴の気持ちも分かるけど、男は引いちゃなんねえ戦いがあるんだ的な事を言っては悪魔を狩って兄を苛苛させる、とかそういう感じだと思ってたんですよね。敵になってるとか、王道過ぎて思いつかんかったっつうの。
そうそう。またアレのはなし。
最近その話ばっかりしているのではないか、と今日気がつきました。あんまり良くない事です。気をつけねばなりますまい。
どの話題でもある程度対応出来ると自負している私だから、同じ話題ばかりしているなんていうのはホント、駄目駄目です。
確かに最近ちょっと親密度が上がってる感はありますけどね。なんちゅーか、相談とかしたのが結論としてそういう方向に向いたって感じなんだけども。
わかんねー。自分は一体なんなんだ。
いかにておへんじ!
>アズマさん!
ダンルシですー。ルシアが全然話に絡んでこないのは、実はルシアのキャラを軽く忘れているからなのです;
結局あれは受かるのか落ちるのか…いよいよ分かりません。
でもまあ今のところは落ち着いて結果を待てていると思います。多少ふらふらはしてますけど、月曜日みたいに授業中泣き出すほど不安定ではないと言うか…。
えっと、つまり言いたいのは、ただいま! って事です。笑
ダンルシですー。ルシアが全然話に絡んでこないのは、実はルシアのキャラを軽く忘れているからなのです;
結局あれは受かるのか落ちるのか…いよいよ分かりません。
でもまあ今のところは落ち着いて結果を待てていると思います。多少ふらふらはしてますけど、月曜日みたいに授業中泣き出すほど不安定ではないと言うか…。
えっと、つまり言いたいのは、ただいま! って事です。笑
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