臆病

久しぶりに会った友達。相変わらず淡白な付き合い。
１０分程度話したくらい。
それは友達と呼べないのでは。
…と思うのは勝手だけど結論にしてはちょっと極論。
だから何も言わないし追い縋ったりもしない。そうなの、じゃあね。終わり。
淋しさ以外にもほとんどの感情は我慢フィルターに引っ掛かる私も、さすがにちょっとそれはないんじゃね？と思った。
まあ、付き合うメリットが無いと思われてるんだろうな。
一緒にいて楽でも楽しくも無いだろうしね。
コミュニケーションが仕事の領域に入っているから、どうしてもラフな感じにならない。フランクでも包容力も無い余裕の無い生き方。
機械のような生き方。
ただ怯えてるだけだと思う。
人間関係に苦手意識を持ってる。人といて顔色伺ってニヤニヤ笑って面白い話題も提供出来ない癖に人と関わるなんて、なんておこがましい。



何を尋ねられる？
就職決まった？
卒論どう？
何してた？
遊びに行こうね？

社交辞令ばかりに埋めつくされた返事を聞いてがっかりしたくないだけよ。
結局自分が傷つきたくないだけよ。
楽しめる自信が無いのに言えるかよ。

一人が楽で、一人がほとんどで、何を言っても『過激』だからって嫌がられりゃ、誰かとつるむなんてとても出来そうに無いや。
家も学校も同じ。
結局一人パソコンつけて音楽聞きながら作業している。捗る、けど、なんか虚しい。
でも何かを吐露したところでストレスだけがたまるだけで何も変わらない。
暴れたくなる衝動に駆られるけど最後の理性が押し留める。
一人で生きるほど強くないけど、一人で生きるほうが遥かにマシなんだからさ。いやんなるよね。
今此処で指を噛みながら泣いてなんとか自己完結を試みているわけだけど、誰かに相談も出来ないからこの状況は唐突で気持ち悪がられるだろうな。ハタから見れば私も異常者には違いない。
順調に見えることは必ずしも幸福だとは限らない。
真っ直ぐ立つその姿勢すら、時に人を傷つけるらしいから。
もう疲れた。
疲労だけで何も残らなかったよ、今日は。









『自分を見せていない』って言われちゃったけど、見せるだけのものが無いんだ。
空っぽ。何も無い。
自分の理想は『過激』。
追い掛ける姿勢すら『過激』 。
過激過激ってうるさいよ。
何もやらないのは出来ないのと同じだ。やらなかった癖にやらなくて正解だと言い聞かせているだけだ。だから私は自分のために出来ることをやってきたし出来ないこともやってきた。自分で、出来る限りのことはね。他人に助けられたりなんかしないように、迷惑は極力避けてきたつもりだけど。やりたくないからやらない、嫌いなものは絶対悪いっていう他人の過激な思考のためにいらない遠慮だけで脳が飽和する。

そして回避処理としての息抜きや好きなものは否定されて、生き方も批判されて、まだ人を信じろだなんて、自分を曝け出せなんて酷過ぎる。
この後に及んでまだ何か言い足りないのか。
まだ笑い足りないのか。
まだ馬鹿にし足りないのか。
もう別に愛とか要らないんで、ほっといて下さい。黙りますから、ほっといて下さい。
野良で結構。犬だって叩かれ続ければ懐かない。
スタイルや信条が要らないならそう言えばいい。機械をご所望ならお作りしましょうか？
でなければ感情なんか潰れて無くなってしまえば良いのに。命も一緒に尽き果ててしまえばいいのに。
私の前からみんな消えるより私が居なくなるほうが無駄が無いじゃないか。
それだけが、異常と正常をギリギリ分けている。
たったそれだけの為に、私はタバコに火を点ける。